【質問者】
坂口裕和 岐阜大学大学院医学系研究科 感覚運動医学講座眼科学分野教授
【子どものスマホの見過ぎによって,近視化や急性内斜視が生じ,スマホ使用時間の制限や外遊びなどの生活習慣の改善が必要である】
スマホの爆発的な普及により,子どもがスマホを使用する機会がますます増加しています。スマホの見過ぎによる子どもの目の悪影響としては,近視化や急性内斜視が挙げられます。
近視とスマホの関連については,1日20分以上のスマホ使用と屋外での活動の減少が近視化の要因1)とされ,日本でも「裸眼視力1.0未満の子ども」の割合は,幼稚園児で27.90%,小学生で37.52%,中学生で58.29%,高校生で63.17%と増加傾向にあり,特に小学生の近視の割合は年々増加しており2),スマホの普及との関連も示唆されています。
スマホによる近視化の原因については,まずスマホの視聴距離が20cm前後と短いことが挙げられます3)。これに加えて小さな画面を見続けることによって,黄斑部の調節ラグや周辺網膜の軸外収差が生じて近視化が促進する方向に働く4)と考えられています。
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