厚生労働省は15日、昨年12月に施行されたアレルギー疾患対策基本法(用語解説)に基づく、対策の充実に向けた基本指針案をアレルギー疾患対策推進協議会に提示した。
アレルギー疾患を巡っては、インターネット上などに予防法や症状軽減に関する情報が氾濫しており、適切でない情報を選択して症状が重症化するケースが指摘されている。また、アレルギー疾患に携わる専門的な知識や技能を有する医師が偏在している現状を踏まえ、基本指針案では対策の柱として、国立成育医療研究センター・国立相模原病院といった全国的なアレルギー疾患の医療拠点、地域の診療拠点、かかりつけ医との連携協力体制のあり方について「検討し、医療の質の向上を図る」としている。
しかし委員からはこの表現を巡り、「抽象的すぎる」「検討するだけで終わってしまう」といった指摘が相次いだ。中でも海老澤元宏委員(国立相模原病院)は「アレルギー分野は大きな病院では不採算部門の扱いを受けがち。こうした状況を変えないと開業医の先生ばかりがアレルギー疾患を診る時代がいずれ来てしまう」と危機的状況を訴えた。厚労省はこうした指摘を踏まえ、次回会合で文言修正を行った指針案を提示、10月中に取りまとめを行う方針だ。