心房と心室の間に伝導障害が生じ,心電図にそれが表現された場合を「房室ブロック」と呼ぶ。房室ブロックはP波とQRSの関係性によって第1度〜第3度にわけられる。PQ時間の延長またはP波に続くQRSが部分的に脱落する場合を「不完全房室ブロック」,まったく対応していない場合を「完全房室ブロック」と呼ぶ。不完全房室ブロックは完全房室ブロックより頻度が高く,特に後述する第1度,第2度Wenckebach型は日常よく見かける。自律神経の影響による機能的ブロックが多いが,一部器質的ブロック,薬剤によるものもみられるため,注意が必要である。
以下の第1度,第2度房室ブロックが不完全房室ブロックと考えられる。
PQ時間が0.21秒以上。P波とQRSは原則1:1対応。
Wenckebach型(MobitzⅠ型):PQ時間が次第に延長した後,QRSが脱落する。
MobitzⅡ型:PQ時間の延長なしにQRSが脱落する。Wenckebach型との鑑別は時に難しいが,QRSが脱落したときの前後の,つながっているときのPQ時間を測定し,脱落前が直後に比べて長い場合,Wenckebach型と診断する。
高度房室ブロック:房室伝導比が3:1以下の場合。
P波とQRSが完全に独立して出現する場合。
なお,2:1房室ブロックは上記のいずれにも属さないが,長時間記録していると伝導比が2:1以上となることがあり,Wenckebach型かMobitz Ⅱ型かの鑑別が可能となることがある。
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