株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

不完全房室ブロック[私の治療]

No.5114 (2022年04月30日発行) P.42

小田倉弘典 (土橋内科医院院長)

登録日: 2022-04-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 心房と心室の間に伝導障害が生じ,心電図にそれが表現された場合を「房室ブロック」と呼ぶ。房室ブロックはP波とQRSの関係性によって第1度〜第3度にわけられる。PQ時間の延長またはP波に続くQRSが部分的に脱落する場合を「不完全房室ブロック」,まったく対応していない場合を「完全房室ブロック」と呼ぶ。不完全房室ブロックは完全房室ブロックより頻度が高く,特に後述する第1度,第2度Wenckebach型は日常よく見かける。自律神経の影響による機能的ブロックが多いが,一部器質的ブロック,薬剤によるものもみられるため,注意が必要である。

    ▶診断のポイント

    以下の第1度,第2度房室ブロックが不完全房室ブロックと考えられる。

    【第1度房室ブロック】

    PQ時間が0.21秒以上。P波とQRSは原則1:1対応。

    【第2度房室ブロック】

    Wenckebach型(MobitzⅠ型):PQ時間が次第に延長した後,QRSが脱落する。
    MobitzⅡ型:PQ時間の延長なしにQRSが脱落する。Wenckebach型との鑑別は時に難しいが,QRSが脱落したときの前後の,つながっているときのPQ時間を測定し,脱落前が直後に比べて長い場合,Wenckebach型と診断する。
    高度房室ブロック:房室伝導比が3:1以下の場合。

    【第3度(完全)房室ブロック】

    P波とQRSが完全に独立して出現する場合。
    なお,2:1房室ブロックは上記のいずれにも属さないが,長時間記録していると伝導比が2:1以上となることがあり,Wenckebach型かMobitz Ⅱ型かの鑑別が可能となることがある。

    残り1,348文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top