株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

花粉─食物アレルギー症候群(PFAS)とは

No.5114 (2022年04月30日発行) P.52

小池由美 (長野県立こども病院アレルギー科部長)

近藤康人 (藤田医科大学ばんたね病院小児科教授)

登録日: 2022-05-01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 花粉─食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)とはどのようなものでしょうか。また,PFASは治りますか?
    藤田医科大学ばんたね病院・近藤康人先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    小池由美 長野県立こども病院アレルギー科部長


    【回答】

    【花粉感作後に,交差抗原性を有する食物を経口摂取してアレルギー症状をきたす病態である】

    花粉症患者が,花粉と交差抗原性を有する果物や新鮮な野菜を摂取した時に即時型アレルギー症状をきたすことがあり,これをPFASと言います。PFASによるアレルギー症状が口腔から咽頭にかけて生じる違和感や耳の奥のかゆみ,口唇の軽度の腫脹であることから,口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)とも呼ばれています。また,10%程度において,口腔咽頭症状からアナフィラキシーに進展することもあると報告されています1)

    主要なアレルゲンとして,カバノキ科に属する花粉(シラカンバ,ハンノキ,ヤシャブシなど)に存在するアレルゲンのBet v 1ホモログ(同族体)が有名です。このアレルゲンファミリーは,バラ科の果物やセリ科の野菜,大豆などのマメ科食品にも存在していることから,花粉のBet v 1ホモログに感作すると,これらの食品を摂取した時に交差抗原性によって,アレルギー症状を起こしうる状態となります(臨床的交差反応性)2)

    残り852文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top