【ペースメーカー装着の有無は問題とならず,適応があれば変更は問題なく可能】
現在,「2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン」1)において,心房細動患者への抗凝固療法でワルファリン使用が推奨クラスⅠとなっているのは,中等度から重度の僧帽弁狭窄症,あるいは機械弁置換術後の患者に限られています。
そして,「ワルファリン投与中の患者がアドヒアランス良好であるにもかかわらずTTR(time in therapeutic range)が不良である場合,あるいは,DOACを希望する場合(ただしDOACが禁忌でない場合)にDOACへの変更を考慮する」(推奨クラスⅡa)としています。このような変更をする際,特にペースメーカー装着の有無は問題とならず,適応があれば変更は問題なく可能,と思われます。
変
更の際は,以下の手順で行います。
①ワルファリンを中止する。
②プロトロンビン時間国際標準比(prothrombin time-international normalized ratio:PT-INR)を2〜3日ごとに測定する。
③PT-INRが1.6以下になった時点で,DOACを開始する。
PT-INRの測定間隔は,ワルファリン中止時の数値を見て1.6に近ければ,こまめに設定します。
なお,ペースメーカー植え込み手術の際は,ワルファリン,DOACともに中止はせず,継続することを推奨しています(推奨クラスⅡa)。
【文献】
1) 日本循環器学会, 他:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン(2022年2月14日更新).
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/01/JCS2020_Ono.pdf
【回答者】
小田倉弘典 土橋内科医院院長