接触皮膚炎とは,「外来性の刺激物質や抗原が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応」と定義されており,原因から「刺激性」と「アレルギー性」に分類される。さらに,湿疹とは外的,内的刺激に対する表皮・真皮上層を場とし,かゆみ,ヒリヒリ感を伴う可逆性の炎症反応で,組織学的に表皮細胞間浮腫,海綿状態から水疱形成に至る特徴を持ち,臨床的に湿疹三角に示されるように,紅斑,丘疹,小水疱から苔癬化に至る可能性を有する皮疹から成り立つ皮膚疾患の総称である。
臨床的に湿疹性の病変を呈するものは,まず,本疾患を疑うことが重要である。「全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群」のタイプを除いて,基本的には,原因物質が接触した部位に病変が限局するため,比較的特徴的な臨床症状を呈することが多い。したがって,詳細な問診ならびに病変部位から,ある程度の原因物質をリストアップすることができる場合が多い。しかしながら,日常生活の中に埋もれてしまうようなものが原因物質であることもあり,医療者側,患者側の良好な関係性構築ならびに,豊かな想像力が必要となる。リストアップした原因物質について,原因物質であるか否かをはっきりさせるために,後述のような検討を行う。まず,原因物質への曝露を中止することにより症状が改善すること,あるいは,一度中止した物質への再曝露により症状が再燃することにより,原因物質の同定がある程度可能である(使用中止テスト,使用テスト)。
「パッチテスト」は,接触皮膚炎の原因検索を行う際に必須の試験と考えられ,ガイドライン等でも「行うことが強く推奨される」と記載されている1)。ただし,感度や特異度から考えたときに,かなり多くの偽陽性,偽陰性があるはずであり,そのことを必ず念頭に置いて結果を検討する必要がある。すなわち,パッチテストの結果も含めて,臨床経過や症状,使用テストや使用中止テストの結果などを総合して原因物質の判定を行うべきである。
第一に湿疹性の病変であることを確認した上で,問診や臨床症状より接触皮膚炎であることを疑うことである。原因は個々の症例よって様々であると考えられ,検査の方針等に違いが生じる。また,具体的な治療において最も重視すべきは,原因物質からの回避である。薬物療法としてはあまりバリエーションはないが,以下に挙げる選択肢がありうる。ただし,それらはすべて原因物質からの回避が前提である。
残り1,236文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する