喉頭蓋の化膿性炎症である。喉頭蓋の腫脹をきたし,気道狭窄による呼吸困難や窒息を生じうる緊急性の高い疾患である。保存的治療に加え,外科的気道確保を含めた気道管理が重要となる。
咽頭痛(嚥下痛)はほぼ必発であり,発熱がついで多い症状である。嚥下困難や呼吸困難を認めることも少なくない。含み声(何かを口に含んで話しているような声)を認めることもある。
喉頭の観察が不可避である。喉頭内視鏡(なければ間接喉頭鏡)で喉頭蓋の腫脹や発赤を確認する。中咽頭レベルの所見が乏しいことが多く,単に口を開けて観察するだけでは見逃す可能性が高い。腫脹が披裂喉頭蓋ヒダや披裂部に及んでいることもあるため,詳細な観察が必要である。
血液検査では白血球数の増加,CRPの上昇など細菌感染を反映する所見を認めるが,急性喉頭蓋炎に特異的なものではない。頸部側面X線では腫大した喉頭蓋(thumbprint sign)を認める。頸部CTでも喉頭蓋の腫大を確認でき,頸部膿瘍の合併の確認にも有用だが,仰臥位では呼吸困難が増悪することもある点に注意する。血液検査や画像検査は,呼吸困難の促迫の状況により実施の適否や時期を判断しなければならない。
気道狭窄の程度により,抗菌薬やステロイドによる保存的治療に加え,気道確保を考慮する。急速に気道狭窄が進行し窒息に至ることがあるため,注意を要する。
外科的気道確保としての気管切開術を行う際には,急激な呼吸困難を生じうること,呼吸困難のため仰臥位や頸部伸展位がとれない場合があること,気管挿管を試みたが成功しなかった場合は呼吸状態がさらに悪化しやすいこと,などに注意が必要である。
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