株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

肥大型心筋症[私の治療]

No.5134 (2022年09月17日発行) P.40

北岡裕章 (高知大学医学部老年病・循環器内科学教授)

登録日: 2022-09-20

最終更新日: 2022-09-14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 肥大型心筋症は,①左室ないしは右室心筋の肥大と,②心肥大に基づく左室拡張能低下,を特徴とする疾患である。有病率は約500人に1人であり,決して稀な疾患ではない。約半数で遺伝子変異(特にサルコメア蛋白をコードする遺伝子における変異)を認める。多くの患者ではNYHA分類(New York Heart Association functional classification)class I/Ⅱ程度の症状しか認めないが,経過中に一部の患者に突然死,心不全,心房細動による脳塞栓症を発症する。

    ▶診断のポイント

    自覚症状(胸部不快感・胸痛,息切れ,失神・めまいなど),本症の家族歴,心電図異常(左室肥大や異常Q波)などから本症を疑い,心エコーや心臓MRIで15mm以上(家族歴がある場合は13mm以上)の左室肥大を認めた場合に本症を強く疑う。最終的には,高血圧や大動脈弁狭窄症などの圧負荷やファブリー病などの心肥大を生じる二次性心筋症を除外して本症と診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    まずは突然死の高危険群かどうかを判断する。突然死の主要リスク因子として,6カ月以内の心原性あるいは原因不明の失神,左室壁厚30mm以上の著明な肥大,突然死の家族歴,非持続性心室頻拍などが挙げられる。

    心不全症状がある場合は,左室流出路圧較差,左室肥大による拡張能低下,一部の患者では左室収縮能低下などの原因を考える。圧較差の確認には,心エコー検査中のバルサルバ負荷や運動負荷エコーが有用である。

    心房細動は,本症の1/3程度に認められる頻度の高い不整脈である。本症ではCHADS2のスコアが低くても脳塞栓症の危険性があるため,禁忌がない限り全例で抗凝固療法を検討する。

    残り1,046文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top