嘔気・嘔吐は多彩な疾患の随伴症状であり,その中には急性心筋梗塞などの危険な疾患も多くあるので,注意が必要である。症状を改善させると同時に,原因となる疾患が何かを考える必要がある。
発症様式(急性または慢性発症),臓器別に嘔気・嘔吐以外の随伴症状がないかを聴取する(頭痛,胸痛,腹痛,背部痛,膀胱刺激症状,下痢,発熱など多岐にわたる)。
既往歴,内服歴,手術歴,飲酒歴,心血管系のリスクとなる因子がないか詳細に聴取することが重要である。糖尿病患者では内服コンプライアンスの確認も必要である。若年女性では妊娠の可能性も考慮する必要があり,パートナーの有無などの確認も必要である。その他,感染症の流行や食物摂取歴など詳細な問診が必要である。しかし高齢者では随伴症状が乏しく,問診から鑑別を絞るのが困難なことも多い。
発熱の有無,ショックなどになっていないか,血圧が上昇していないかなどを確認する必要がある。呼吸数や呼吸様式などはアシドーシスを疑う重要な所見である。
鑑別疾患からもわかるように,全身の診察が必要である。胸部聴診,腹部診察,肝・腎叩打痛,Murphy徴候の有無,必要に応じて神経診察なども行う。その他,食事摂取低下による脱水の所見(舌・粘膜の乾燥,ツルゴール反応の低下)などは点滴治療を行う上で重要である。
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