【質問者】
冲中敬二 国立がん研究センター東病院感染症科科長
【CAR-T細胞療法の出現により「がん免疫細胞療法」は大きな進化を遂げているが,まだまだ発展途上段階であり,その特性をきちんと理解する必要がある】
CAR-T細胞療法は,患者自身からT細胞を採取し,遺伝子改変操作を行うことで腫瘍細胞に発現している標的抗原を認識できるCAR-T細胞を作製するところから始まります。CAR-T細胞療法とは,このCAR-T細胞を患者体内へ戻すことで,直接的に腫瘍細胞に結合し,抗腫瘍効果を発揮することに期待した治療法です。
2022年7月現在,チサゲンレクルユーセル(キムリア®),アキシカブタゲン シロルユーセル(イエスカルタ®),リソカブタゲン マラルユーセル(ブレヤンジ®)の3つのCAR-T細胞が日常診療で使えます。これら3つは再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL/transformed follicular lymphoma:tFL)を対象としていますが,キムリア®のみ25歳以下の再発・難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(B-cell acute lymphoblastic leukemia:B-ALL)にも使用が可能です。DLBCL/tFL,B-ALLともに従来の治療法で治癒が見込めない,サードライン以降の再発・難治症例に対する治療として位置づけられています。
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