von Willebrand病(VWD)は,von Willebrand因子(VWF)の量的・質的な異常により発症する先天性の出血性疾患で,多くは常染色体優性遺伝,一部は常染色体劣性遺伝により伝播する。
VWDは先天性出血性疾患の中では最も多く,推定頻度は1万人当たり100人と報告されているが,出血症状を呈する症例はその中の約1%(1万人に1人)程度と考えられている。
VWDの診断は出血歴,家族歴,投薬歴の聴取と凝血学的検査によって行う。凝血学的検査は,スクリーニングとして,血小板数,プロトロンビン時間(PT),活性型部分トロンボプラスチン時間(aPTT),fibrinogenを測定する。血小板数,PT,fibrinogenが正常でaPTTに延長がみられる場合,あるいはaPTTが正常範囲でも出血症状がある場合は,VWF抗原量(VWF:Ag),VWF活性(VWF:RCo),第Ⅷ因子活性(FⅧ:C)を測定する。VWF:RCoまたはVWF:Agが30IU/dL未満の場合をVWDと診断する。ただし,VWF値が30~50IU/dLでも出血症状がある場合,VWDを除外することはできない。
VWFは変動が大きく,血液型(O型は他よりもVWF量が約25%低い)などの様々な要因により増減するため,診断に際してはVWFの測定を複数回実施する。
VWDは質的に正常なVWFの量的減少症である1型(type 1),完全欠乏症の3型(type 3)と,VWFの質的な異常である2型(type 2)に分類される。
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