内服のビスホスホネート製剤は,食道狭窄またはアカラシア(食道弛緩不能症),30分以上上体を起こしていることや立っていることのできない患者では禁忌である。
年1回の点滴製剤では,重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス35mL/分未満)や脱水状態にある患者への投与は禁忌である。
天然型あるいは活性型ビタミンD3製剤は,デノスマブやロモソズマブ,ビスホスホネート製剤などと併用すると効果が高い。デノスマブは休薬により骨吸収活性が上昇し,時に骨密度の低下から椎体骨折の発症に至る場合があるので注意が必要である。また,ロモソズマブやテリパラチドも休薬により骨密度が減少するため,デノスマブと同様,何らかの逐次療法を実施する必要がある。ロモソズマブやテリパラチドは価格的に他剤と比較して高額であるため,投与前に患者に十分説明しておく必要がある。テリパラチドは生涯投与期間が2年,ロモソズマブは再投与は妨げないもののまずは1年までの投与期間と定められている。
治療開始時の余命などを考慮しながら,長期間,骨代謝に強く介入するような薬剤ではなく,骨量減少に傾いた骨代謝状態をゆるやかに修正するような治療から開始する。
一手目 :〈閉経後女性の場合〉エビスタⓇ60mg錠(ラロキシフェン塩酸塩)1回1錠1日1回(朝食後),またはビビアントⓇ20mg錠(バゼドキシフェン酢酸塩)1回1錠1日1回
一手目 :〈男女とも〉エディロールⓇ0.5μgカプセル・0.75μgカプセル(エルデカルシトール)1回1カプセル1日1回(朝食後)
閉経後女性の場合は,マイルドに骨吸収を抑制する選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であるエビスタⓇやビビアントⓇを投与する。また男女とも,やはりマイルドに骨吸収を抑制するエディロールⓇを投与し,半年~1年に1回,骨密度等の変化をフォローする。
二手目 :〈処方変更〉イベニティⓇ注(ロモソズマブ)1回210mg月1回(皮下注),またはフォルテオⓇ注キット(テリパラチド)1回20μg 1日1回(自己皮下注),またはテリボンⓇ注オートインジェクター(テリパラチド酢酸塩)1回28.2μg週2回(自己皮下注)
一手目の治療中に骨密度低下が進行,または特に脆弱性骨折をきたした場合には,効果不十分と判断し,処方を変更する。以前は,骨吸収抑制薬であるビスホスホネート製剤やデノスマブに変更することが一般的であったが,現在はこれら強力な骨吸収抑制薬投与前に,骨形成促進薬であるイベニティⓇ,または副甲状腺ホルモン製剤であるフォルテオⓇやテリボンⓇを投与するのがトレンドである。
三手目 :〈処方変更〉プラリアⓇ注(デノスマブ)1回60mg 6カ月に1回(皮下注),またはビスホスホネート製剤
効果不十分というわけではなくても,二手目で骨形成促進薬を投与した場合には,それらの薬剤には投与期間に制限があることや休薬すると効果が維持できないため,投与終了後には三手目の薬剤を投与する。ロモソズマブからテリパラチド,あるいはその逆,というパターンもありえるが,現時点では骨吸収抑制薬であるプラリアⓇやビスホスホネート製剤への変更が医療経済的にも一般的である。
ビスホスホネート製剤は種類が多いため詳細は割愛するが,経口服薬が可能か,静注や点滴がよいかなど,患者と相談して決める。適宜天然型〔デノタスⓇチュアブル配合錠(沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウム)〕あるいは活性型ビタミンD3製剤を併用する。活性型ビタミンD3製剤も種類や用量が多いため,ここでは個々の薬剤の詳細は割愛するが,高カルシウム血症や急性腎症などに注意する。
患者の状態や年齢に応じて,中等症では軽症の一手目もしくは二手目から,重症では軽症の二手目もしくは三手目から治療を開始する。
【参考資料】
▶ 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会, 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版. ライフサイエンス出版, 2015.
宮本健史(熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学講座教授)