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ヘルスケアシステムにおけるプライマリ・ケア機能と健康格差〈前編〉─プライマリ・ケア機能とプライマリ・ヘルス・ケア[プライマリ・ケアの理論と実践(163)]

No.5142 (2022年11月12日発行) P.12

長嶺由衣子 (東京医科歯科大学医歯学総合研究科)

登録日: 2022-11-10

最終更新日: 2022-11-09

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SUMMARY
プライマリ・ケア機能は,「すべての人が,どこでも,自分の住む地域で,適切なケアを受ける権利がある」とするプライマリ・ヘルス・ケアをめざすヘルスケアシステムには欠かせない,医療現場における臨床機能である。

KEYWORD
ヘルスケアシステムにおけるプライマリ・ケア
プライマリ・ケア機能がヘルスケアシステムの中でうまく機能した場合に現れる影響, インパクトについて検討, 検証することを示す言葉。

長嶺由衣子(東京医科歯科大学医歯学総合研究科)

PROFILE
一橋大学社会学部卒,長崎大学医学部医学科卒。沖縄県立中部病院での研修,離島でのソロプラクティス等を経てプライマリ・ケア,公衆衛生の実践,研究を行う。公衆衛生学修士・博士(ロンドン大学,千葉大学)日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医。

POLICY・座右の銘
早く行きたいなら一人で行け,遠くへ行きたいならみんなで行け

2019年5月,世界銀行やG7の保健相,国際機関の長らが出席する会合にて,G7は閣僚声明を発表し,「プライマリ・ヘルス・ケアを強化することが健康格差縮小のための最もスマートな方法である」ことを強調した1)

本シリーズではここまで,総論としてプライマリ・ケアにおける健康の社会的決定要因(social determinants of health:SDH)について,そのエビデンス,プライマリ・ケア現場でのアプローチ方法,学習法,例として具体的なトピック2つを取り上げ,対応に対する示唆について述べてきた。本稿では,さらに一歩引いて,ヘルスケアシステムの一部としてプライマリ・ケア機能が効果的に機能している国とそうでない国で,SDHが生み出す健康格差に対し,どのような違いがあるか,についてエビデンスを交えながらまとめる。

まず前半で,背景にあるプライマリ・ヘルス・ケアの概念とプライマリ・ケア機能の関連について解説を加え,後半でエビデンスレビューに基づいて,プライマリ・ケア機能が健康格差縮小と関連しているか,について述べる。







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