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「健康日本21(第二次)」の基本的な方向に「健康格差の縮小」が加わった経緯について

No.5143 (2022年11月19日発行) P.52

近藤克則 (千葉大学予防医学センター 社会予防医学研究部門教授/ 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学・評価研究部長/ 日本老年学的評価研究機構代表理)

辻 一郎 (東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野 教授)

登録日: 2022-11-21

最終更新日: 2022-11-15

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  • 2013年に策定された「健康日本21(第二次)」では,基本的な方向に「健康格差の縮小」が加えられました。健康自己責任論が席巻する中,どのような経緯や論議を経て「健康格差の縮小」や「社会環境の整備」が政策文書に加わったのでしょうか?
    第一次から第三次の策定まで関わってこられた,東北大学・辻 一郎先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    近藤克則 千葉大学予防医学センター 社会予防医学研究部門教授/ 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学・評価研究部長/ 日本老年学的評価研究機構代表理事


    【回答】

     【健康格差が広がる中,新しい健康づくり戦略が必要になった】

    1990年代にバブルが崩壊して経済不況が続く中で,社会経済上の格差が顕在化してきました。その中で公衆衛生学・社会疫学の研究者は,学歴・所得・居住地などの格差が健康の格差にも影響することを解明しました。

    厚生労働省は,2010年「国民健康・栄養調査」において,世帯所得と生活習慣との関連を初めて検討し,所得が低い世帯の者では,女性の肥満者,朝食欠食者,運動習慣のない者,現在習慣的に喫煙している者の割合が高く,野菜の摂取量が少ないこと,つまり生活習慣リスクを多く抱えていることを明らかにしました。

    2000年度に始まった「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」は,健康寿命の延伸などを実現するために,2012年度を目途とした具体的な目標などを提示して,国民各層において健康づくりを展開しました。その成果・課題を「健康日本21評価作業チーム」が評価した最終報告書(2011年10月公表)は,健康寿命の都道府県格差が拡大したことなどを指摘し,「今後は地域格差や経済格差の影響が大きくなることも想定されるので,社会環境要因に着目した戦略が必要となる」と結論付けました。

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