若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)は,滑膜炎による関節の炎症が長期間繰り返される結果,関節軟骨および骨破壊が進行し関節拘縮や障害を引き起こす,いまだ原因不明の慢性の炎症性疾患であり,小児期リウマチ性疾患の中で最も頻度が高い。「16歳未満で発症し,6週間以上持続する原因不明の関節炎で,他の病因によるものを除外したもの」と定義されている1)。本疾患の頻度は,小児人口10万人対10~15人である2)。
JIAはその病態や臨床症状の違いから,近年では治療や治療反応性に関して全身型と全身型以外の病型(関節型)の大きく2つにわけて管理されている。
発熱,関節痛・関節腫脹,リウマトイド疹,筋肉痛や咽頭痛などの症状を呈する。3割は発症時に関節症状を欠く。マクロファージ活性化症候群(macrophage activation syndrome:MAS)の合併(8%)に注意を要する。
①少関節炎
関節痛・関節腫脹,可動域制限,朝のこわばりなどの関節症状に加え,ぶどう膜炎の合併がみられる。ぶどう膜炎は関節炎発症後5年以内に発病することが多く,放置すれば失明率が高い(15~20%)。関節機能は正常~軽度障害が多く,関節予後は良い。
②多関節炎(RF陰性)
関節症状に加え,4割で発熱を認める。関節機能正常~軽度障害がほとんどで,少関節炎についで関節予後は良い。
③多関節炎(RF陽性)
この病型は関節リウマチに近い病態である。関節症状が著明で,初期に既に変形をきたしている例もある。ほとんどの患者が治療継続となり,また症状も持続するため,適切な治療を継続しないと中等度~重度の関節機能障害が生じる。
全身型の診断には,発熱と関節症状をきたす他の疾患の除外が重要である。病初期には発熱以外の症状が乏しいことも多いため,不明熱の鑑別診断を行う。
一方,関節型では,関節痛・関節炎を生じうる疾患を総じて鑑別する必要がある。特に単関節だけ侵されている症例では,十分な鑑別を要する。
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