脳動脈瘤はくも膜下出血の原因として重要な脳血管障害であり,脳ドックの普及によりその診断機会は増加している。脳動脈瘤は一度破裂すると35%が死亡し,29%で後遺症を残す一方,動脈瘤サイズ,部位,形状などにより個々の動脈瘤の破裂リスクは異なる。わが国においては,多施設共同観察研究UCAS(unruptured cerebral aneurysm study)Japanの結果に基づいた破裂リスクの評価を行った上での十分なインフォームドコンセントのもとに,治療方針が決定されている。わが国における未破裂脳動脈瘤全体の年間破裂リスクは0.95%と報告されている。
多くの未破裂脳動脈瘤は無症候のため,脳ドックや他疾患のスクリーニング目的のmagnetic resonance angiography(MRA)で発見される。3mm以上の脳動脈瘤であれば,0.5~1.5テスラの通常のMRAで検出可能である。動脈瘤サイズが5~7mmを超える場合や,前交通動脈瘤,内頸動脈・後交通動脈分岐部動脈瘤など破裂リスクが高い部位の動脈瘤が疑われる場合は,computed tomography(CT)血管造影や脳血管撮影により正確な瘤径,動脈瘤の部位に加えて動脈瘤の形状(daughter sacの有無)の診断を行い,治療方針を決定する。
動眼神経麻痺を呈する内頸動脈・後交通動脈分岐部動脈瘤に代表される症候性脳動脈瘤や,経過観察中に増大する瘤は破裂リスクが高いことが知られているため,積極的治療の適応と考える。
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