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脳動静脈奇形(AVM)に対するガンマナイフの適応は?

No.5194 (2023年11月11日発行) P.47

菊池隆幸 (京都大学医学部附属病院脳神経外科講師)

森 久恵 (国立循環器病研究センター脳神経外科医長)

登録日: 2023-11-10

最終更新日: 2023-11-07

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  • 脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)に対しては,近年,低侵襲治療法が選択されることが多くなっていると思います。どのような患者がガンマナイフの適応と考えられるのか,症候やナイダスの大きさに応じた適応と治療効果,他の治療との組み合わせの利点・欠点についてご教示下さい。
    国立循環器病研究センター・森 久恵先生にご解説をお願いします。

    【質問者】菊池隆幸 京都大学医学部附属病院脳神経外科講師


    【回答】

     【安全に治療可能なのは直径3cm,体積10mLまで,摘出不能な深部病変にも有効】

    1968年にカロリンスカ病院(Sweden)に第1号機が置かれて以来,ガンマナイフは50有余年の歴史があります。AVMに対するガンマナイフ治療の1例目は1972年で,今や低侵襲治療法として確立しています。

    「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕」で示されているように,部位や流入血管,合併症の有無などで外科的手術の危険が高く病巣が小さい場合(10mL以下または最大径3cm以下)がガンマナイフの適応です。

    2014年のARUBA trialでは薬物療法単独が優れているという結果でしたが,未破裂AVMでは,合併症のリスクが低く,出血予防効果が見込める場合は,生涯年間出血率を考慮し,治療介入します。摘出術の場合はSpetzler-Martin gradeで判断しますが,ガンマナイフは,Pollockらが提唱したmodified AVM scoreで適応を考えるのがよいでしょう。これは閉塞率とよく相関し,治癒のおおよその予測をつけることができます。

    当院では適応をよく検討して,未破裂AVMは平均2年で73.7%が完全閉塞,破裂AVMは平均3.5年で62.8%が完全閉塞,という治療成績を得ています。

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