頭部外傷において,打撲部位に頭蓋骨骨折をきたし,その骨折の直下の血管(中硬膜動脈や静脈洞など)が損傷され,頭蓋骨と硬膜の間に血腫を形成するパターンが典型的である。血腫増大は通常,受傷後6時間以内に終了する(抗血栓薬内服中の場合は除く)。意識清明期(lucid interval)を伴うことが特徴とされるが,これを示す患者は全患者の47%との報告もある。
頭部CTで打撲部位の直下に頭蓋骨骨折と凸レンズ型の血腫を認める。
典型例では脳実質の損傷がなく,血腫による脳の圧迫のみが問題となるため,早期に血腫を除去すれば生命予後,機能予後ともに良好である。したがって,神経脱落症状やCT所見から迅速に手術適応を判断することが最重要である。反対に,診断や治療タイミングの遅れにより,頭蓋内圧亢進から脳ヘルニアをきたして予後不良となりうる。重症例では,合併する急性硬膜下血腫や脳挫傷の程度により,生命予後や機能予後が左右される。
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