厚生労働省は1月17日、「令和3年度(2021年度)における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」を公表した。それによると、21年度の保険医療機関等の指定取消処分件数(指定取消相当含む)は前年度よりも7件増え、26件となった。保険医療機関等からの返還金額は、48億4051万円だった。
21年度の保険医療機関等(薬局を含む)に対する指導・監査等の実施件数は、▶個別指導1050件(対前年度比747件減)、▶新規個別指導4453件(1538件増)、▶適時調査33件(28件増)、▶監査51件(5件増)―となった。前年度と比べると、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から実施を見合わせていた新規個別指導の件数は、十分な感染対策を講じることを条件に前年度の未実施分も含めて実施が再開されたため、大幅に増加。個別指導の実施件数は、一部の指導が実施できなかった影響で前年度よりも減少した。
保険指定の取消処分などの状況をみると、保険医療機関等の指定取消は26件(7件増)、保険医等の登録取消は16人(2人減)。このうち医科は、保険医療機関等の指定取消が8件、保険医の登録取消が3人だった(いずれも保険医療機関の廃止などでこれら行政処分が行えなかった「取消相当」を含む)。
処分の原因となった不正内容は、架空請求、付増請求、振替請求、二重請求など多岐にわたり、監査拒否による保険医療機関等の指定取消処分の件数が増加傾向にある。処分につながった不正発覚のきっかけで最も多かったのが、保険者、医療従事者、医療費通知に基づく被保険者等からの通報で、26件中19件と大半を占める。残り7件は、警察の摘発、個別指導、県立入検査だった。
指導や監査等の結果、保険医療機関等が返還した金額は48億4051万円となり、前年度比で11億1874万円減少した。内訳は、▶指導による返還分14億7010万円(対前年度比13億9584万円減)、▶適時調査による返還分20億7423万円(5億3449万円減)、▶監査による返還分12億9617万円(8億1158万円増)。返還金額には20年度以前に指導、適時調査、監査を実施し、21年度中に確定した金額が含まれる。