濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma:FL)は,緩徐に進行するインドレント(低悪性度)B細胞リンパ腫の代表的疾患で,悪性リンパ腫の約20%を占める。リンパ節腫大を呈することが多く,80%以上の患者は進行期(ステージⅢ以上)で診断される。一部の患者は再発時にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に組織学的形質転換をきたす。
リンパ節などの病変の病理組織診断が必須である。典型的には,腫瘍細胞は濾胞構造をとり,免疫組織化学染色でCD20陽性,CD10陽性,BCL2陽性で,fluorescent in situ hybridizationでIGH/BCL2陽性である。病期診断のためPET-CT検査,骨髄検査(生検),上部消化管内視鏡検査を行う。予後予測モデルとしてfollicular lymphoma international prognostic index (FLIPI)が用いられる。
未治療・進行期例では,症状の有無,リンパ腫による臓器圧迫所見(水腎症,脊髄圧迫,浮腫など)・臓器障害の有無,腫瘍径などを参考に治療の必要性を判断する。GELF(Groupe d’Etude des Lymphomes Folliculaires)高腫瘍量規準に相当する患者では抗CD20抗体併用化学療法を行う。
抗CD20抗体にはリツキシマブ,オビヌツズマブのいずれかが選択肢となり,無増悪生存期間はオビヌツズマブのほうが優れていることがランダム化比較試験で示されている。化学療法としてはベンダムスチン,CHOP療法,CVP療法などが選択肢となるが,奏効期間と副作用のバランスを考えて選択する。初回治療が奏効した場合には,その後,2年間の抗CD20抗体維持療法が選択肢となる。
低腫瘍量の患者では無治療経過観察,リツキシマブ単剤療法が選択肢となる。限局期例は稀であるが,腹部病変の場合などを除いて,局所放射線治療(24Gy)を行う。
再発時には,組織学的形質転換の有無,前治療の内容・奏効期間,腫瘍量などを参考にして治療選択をする。FLとしての再発では,初回治療と同様の抗CD20抗体併用化学療法,リツキシマブ単剤療法,レナリドミド・リツキシマブ併用(R2)療法などが選択肢となる。EZH2変異陽性例ではEZH2阻害薬のタゼメトスタットが選択肢となる。組織学的形質転換をきたした場合,R-CHOP療法や,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の再発・難治例と同様の多剤併用サルベージ化学療法が選択肢となる。
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