くる病は,カルシウム(Ca)やリン(P)の不足により,成長板において骨基質の石灰化不全が生じ,成長障害や内反膝(O脚)・外反膝(X脚)といった骨変形が起こる疾患の総称である。骨端線閉鎖後に生じた場合には骨軟化症になる。くる病には,ビタミンD作用不全によるもの,低リン血症性くる病,Fanconi症候群などがある。
くる病症状があり,手首や膝の長管骨単純X線撮影を行い,骨幹端の杯状陥凹(cupping),骨端線の拡大(splaying,flaring),不整・毛羽立ち(fraying)を認め,血中アルカリホスファターゼ(ALP)上昇があれば診断できる。血液検査で,Ca,P,副甲状腺ホルモン(PTH),25水酸化ビタミンD〔25(OH)D〕,1α,25水酸化ビタミンD〔1,25(OH)2D〕,線維芽細胞増殖因子(FGF)23を,尿検査でCa,Pを測定して病型を診断する。ビタミンD欠乏性くる病では25(OH)Dが低下(20ng/mL未満),FGF関連低リン血症性くる病ではFGF23が高値(30pg/mL以上)となる。
ビタミンD作用不全によるくる病には,ビタミンD欠乏性くる病,1α水酸化酵素の先天的異常によるビタミンDの活性化障害によるくる病(ビタミンD依存性くる病1型),ビタミンD受容体の変異によるくる病(ビタミンD依存性くる病2型)がある。完全母乳栄養児や,食事制限,日光曝露不足が存在する際にはビタミンD欠乏症になりやすい。ビタミンD依存性くる病1型は,血中25(OH)Dは正常~高値であり,1,25(OH)2Dは低値となる。ビタミンD依存性くる病2型は,血中1,25(OH)2Dが高値となり,禿頭を半数程度に認める。
低リン血症性くる病は,腎近位尿細管でのP再吸収障害により,P排泄が亢進することによって起こる。P以外の再吸収障害も伴うFanconi症候群は含まない。血中Pは小児では成人より高値であり,注意が必要である。低リン血症性くる病には,P排泄因子であるFGF23が過剰に働くことで低リン血症になるもの(FGF23関連低リン血症性くる病)と,Ⅱc型Na+/P共輸送体の異常により低リン血症になるもの〔高カルシウム尿性低リン血症性くる病(HHRH)〕がある。FGF23関連低リン血症性くる病は,血中FGF23は高値で,血中1,25(OH)2Dは正常~やや低値である。HHRHでは,血中FGF23は低値,血中1,25(OH)2Dは高値,尿中Caは高値である。
残り1,210文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する