mucosa associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫は辺縁帯リンパ腫の一種で,節外性辺縁帯リンパ腫と同義である。節外臓器としては胃,消化管,肺,甲状腺,乳腺,眼科領域などに発生し,わが国の胃MALTリンパ腫ではHelicobacter pylori(H. pylori)が90%陽性である。
胃の場合,特異的な症状はなく,検診等の上部消化管内視鏡検査で偶然に発見されることが多く,内視鏡像は多彩である。結膜に発生する場合“サーモンピンク様”の腫瘤を呈する。
MALTリンパ腫の治療方針は発生部位により異なり,胃MALTリンパ腫と胃以外のMALTリンパ腫にわけて検討される。
胃MALTリンパ腫の場合,H. pylori陽性であれば除菌,H. pylori陰性であれば放射線療法が基本となる。
胃以外のMALTリンパ腫では,限局期の場合,外科切除,放射線療法,無治療経過観察,が選択肢となる。進行期の場合,低腫瘍量(腫瘍量が少なく,腫瘍に関連した臨床症状が認められない場合)では無治療経過観察あるいはリツキシマブ単剤が,高腫瘍量(腫瘍量が多い,腫瘍に関連した臨床症状が認められる場合)ではリツキシマブ併用化学療法が選択肢となる。
胃MALTリンパ腫の診療では,H. pylori感染の判定が重要である。また,除菌判定は複数の診断法を用い厳密に行う。
MALTリンパ腫は,臨床経過が緩徐で予後が良好なため,化学療法介入後も治療が過剰とならないよう,常に配慮しなければならない。
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