がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会(座長=堀田知光国立がん研究センター理事長)は17日に会合を開き、これまで2回の議論を基に就労支援の課題とニーズを整理した。
その中では、がん患者側からみた医療に関する課題として、(1)がん治療の場が入院から外来に変わり、治療を継続する期間が長くなる傾向、(2)診療が平日昼間に限られる、入院連絡が突然来るなど患者が治療を最優先することを前提としており就労を犠牲にせざるをえない、(3)職場で産業医の指示が守られなかったり分煙が実施されないなど治療上必要な健康管理への配慮が不十分─などが指摘。
一方、医療機関側からみた課題では、(1)医療従事者が患者の就労ニーズに気づいていない、(2)職場環境や通勤状況など就労に関わる情報を把握しておらず、治療方針の説明でも就業ニーズを意識せず、「仕事をすぐに辞める必要はない」等の助言も行っていない─などが指摘された。
また、職場における取り組みについて産業医の立場から報告した宮本俊明委員(新日鐵住金君津製鐵所)は、主治医への診療情報提供書の要請など「主治医と産業医の連携は『患者把握と職場把握の連携』であり、円滑な職場復帰には不可欠」と強調した。