ホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma:HL)は,病理学的に古典的HL(classical HL:cHL)と結節性リンパ球優位型HL(nodular lymphocyte predominant HL:NLPHL)に大別され,治療法が異なる。本稿ではcHLの治療を論じる。
HLの確定診断にはリンパ節生検(腫瘍部位によっては針生検)による病理組織診断が必須であり,吸引細胞診は推奨されない。典型的な組織像および免疫染色を呈しない場合,非HLとの鑑別,特に血管免疫芽球性T細胞リンパ腫との鑑別診断は重要である。また,頻度は低いが,高齢者のHLにおいて,成人T細胞白血病リンパ腫との鑑別困難例が存在するため,HTLV-1抗体の測定は必須である。
病期診断のために,胸部単純X線,全身CT(頸部から鼠径部まで),PET-CT検査および骨髄検査を行う。バルキー縦隔病変(最大径が10cm以上あるいは最大胸郭内径の1/3以上)およびB症状(38℃を超える発熱,盗汗,診断前の6カ月間に認めた通常体重の10%を超える体重減少)の有無を確認する。既往歴,喫煙歴,常用薬の確認とともに,リスク因子(限局期では血沈値の測定が必要)の有無をチェックする。ブレオマイシン肺毒性(BLT)のリスク評価として,動脈血ガス,肺拡散能(DLCO)を含む肺機能検査は必須とする。臓器機能の評価も並行して行う。
限局期であれば,初回治療としてABVD療法(ドキソルビシン,ブレオマイシン,ビンブラスチン,ダカルバジン)4サイクルに続く局所放射線照射(involved-site radiation therapy:ISRT)30Gyを基本とする。
進行期であれば,ABVD療法(6もしくは8サイクル)あるいはBV(ブレンツキシマブ ベドチン)併用AVD療法(6サイクル)のいずれかを選択する。
残り2,142文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する