【質問者】松岡賢市 岡山大学学術研究院 血液・腫瘍・呼吸器内科学准教授
【初発・再発治療における選択肢が広がった一方,適切な患者選択が課題である】
DLBCLの治療選択においては,最近大きく2つの選択肢が増えました。
まず,未治療DLBCLでは,抗CD79b抗体薬物複合体(polatuzumab vedotin)を用いたPola-R-CHP療法とR-CHOP療法を比較した臨床第三相試験(POLARIX試験)で,Pola-R-CHP療法はR- CHOP療法に比較し,主要評価項目である無増悪生存期間(progression free survival:PFS)で有意な延長を認めました。これにより,Pola-R-CHP療法は標準療法のひとつとして初回治療の選択肢に加わり,わが国ではPola-R-CHP療法は未治療DLBCL全例に使用可能となりました。
一方,R-CHOP療法との使い分けが話題になっています。まずPOLARIX試験が国際予後指標(International Prognostic Index:IPI)2以上の症例を対象にしていたため,比較的病勢の強い症例にPola-R-CHP療法が選択されるケースが多いと思われます。一方,DLBCLは分子学的亜型としてABC-DLBCLとGCB-DLBCLに大別されますが,POLARIX試験でのサブ解析において,ABC-DLBCLではR-CHOP療法に比較しPola-R-CHP療法で非常に高い有効性が認められたのに対して,GCB-DLBCLではR-CHOP療法とほぼ同等のデータであったことから,GCB-DLBCLではR-CHOP療法が選択されることもあるようです。しかし,この結果はサブ解析に基づくことや,遺伝子発現プロファイルによる正確なGCB-DLBCLの同定法が確立していないことなどに注意する必要があります。
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