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【識者の眼】「産婦人科領域における遠隔健康医療相談活用事例⑨─夫婦における避妊の悩み」重見大介

No.5191 (2023年10月21日発行) P.60

重見大介 (株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)

登録日: 2023-10-03

最終更新日: 2023-10-03

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筆者が2018年より開始した産婦人科領域における遠隔健康医療相談サービス1)から、活用事例シリーズの第9回目として、今回は「夫婦における避妊の悩み」について紹介したいと思います。

男女が性行為をすれば、一般的にそこには妊娠の可能性が生じます。避妊法には様々な種類があり、最も頻用されている男性用コンドームや、女性が服用する経口避妊薬、子宮内に留置する子宮内避妊具・子宮内システムなどが主な選択肢となります。避妊をする状況は人それぞれであり、結婚も妊娠も考えていない、結婚しているが子どもを持ちたくない、出産経験後にもう妊娠希望はない、など多様です。その中で、「夫婦間での避妊について悩んでいる」という女性は少なくないのですが、医療機関を受診して医師に相談できていないことが多いように感じています。

たとえば「夫が性行為の際に避妊をしてくれない。すでに3人子どもがいて、自分の体力的にも経済的にも厳しいことからこれ以上の妊娠は望んでいないため不安です」という相談がオンラインで寄せられることがあります。国内のデータで、挙児希望のない40歳未満の夫婦でさえ、コンドームや経口避妊薬など近代的避妊法を常用している割合は6〜8割ほどとなっており2)、予期せぬ妊娠に不安を抱える既婚女性の存在が浮き彫りにされています。産後に避妊相談だけのために受診する時間をつくることが難しい女性にとって、オンライン相談は利用のハードルが低いと考えられます。

女性主体の避妊法として、経口避妊薬は産後でも服用でき、授乳をしている女性でも産後半年以降に、授乳をしていない女性は産後3〜6週間以降に服用を開始できます。また、月経困難症があれば子宮内システムを使用することもできます。加えて、たとえ夫婦であっても同意のない性行為や避妊への非協力的態度は性暴力にあたります。こうした認識や避妊法に関する情報を提供することで安心して夫婦生活を送れるよう支援することも、オンライン相談によって可能だと実感しています。

【文献】

1)株式会社Kids Public:産婦人科オンライン. https://obstetrics.jp/

2)国立社会保障・人口問題研究所:第16回出生動向基本調査.
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp

重見大介(株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)[性暴力][DV]

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