統合失調症治療薬「ゼプリオン水懸筋注」(販売元=ヤンセンファーマ)投与中の突然死が報告されている問題を受け、6月27日の日本精神神経学会学術総会で緊急教育講演が開かれた。演者を務めたヤンセン社の社外アドバイザーの藤井康男氏(山梨県立北病院)は、突然死では「外来での発生が多い」など一定の特徴が見られることを指摘した。
同剤を巡っては、昨年11月の販売開始から今年6月までに32件の死亡例が報告されており、うち9件は原因不明の突然死であることが判明している。
藤井氏は、「統合失調症治療に薬剤は不可欠。臨床家はリスクとベネフィットを正しく知って処方すべき」とした上で、販売開始後の突然死の発生頻度については「世界各国の臨床試験結果と比較して日本だけが特別に高いとは言えない」と指摘。一方で、突然死の患者では、(1)8件が外来で発生している、(2)5件が50代である、(3)デポ剤からの切り替え例が多い─など、一定の共通した特性がみられることから、今後特に外来における大規模調査を実施し、安全性を検討する必要性を強調した。
また、突然死の防止に向けた方策では、「使用制限やモニタリングの義務化も考えられる」とした。