大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)は,大動脈弁が主に加齢を原因として狭窄する病態のことである。求心性左室肥大,心不全をきたし最終的には突然死を引き起こしうる致死的な疾患である。保存的加療では予後は悪く,外科的大動脈弁置換術(surgical aortic valve replacement:SAVR),もしくは経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)が根治術として挙げられる。
通常,重症に到達するまで多くは無症状で経過する。主な症状は労作時呼吸困難などの心不全症状,ならびに狭心痛,失神である。また,全身倦怠感,活動性低下,認知機能低下など非典型的な症状で発症する例もある。特に高齢者では症状の聴取が困難である場合があり,数カ月前の状態との比較など注意深く問診をする必要がある。
聴診所見上,胸骨右縁第2肋間,または左第3肋間に最強点を有する漸増漸減性の収縮期駆出性雑音を聴取する。
心電図では,求心性肥大のために左側胸部誘導の高電位,左軸偏位,ST低下と陰性T波を伴ったストレインパターンを呈する。
心エコー図上,大動脈弁の開放障害と経弁圧較差の上昇(4m/秒以上)を確認し,確定診断とする。
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