塩野義製薬は11月30日、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株を適応菌種とする抗生物質「フェトロージャ点滴静注用1g」(一般名:注射用セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物)について製造販売承認を取得したと発表した。
フェトロージャは、セファロスポリン系抗菌薬の改良により創製された新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬。多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する薬剤で、細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出)による影響を受けにくいとされている。
フェトロージャは、厚労省が今年度から試行的に導入した「抗菌薬確保支援事業」(抗菌薬の販売を手がける製薬企業の収益の一定額を保証する制度)の対象薬剤として採択されており、企業が国の薬剤耐性対策(販売量の適正水準維持)に協力することで減収が生じた場合、一定額の支援を受けることになる。
フェトロージャ(セフィデロコル)は欧州ではFetcrojaの製品名で、米国ではFetrojaの製品名で既に販売されており、WHOの必須医薬品リストにも掲載されている。
カルバペネム耐性菌が分離される代表的な菌種/菌属
アシネトバクター属、緑膿菌、腸内細菌科細菌(大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属など)