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肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)に対する漢方薬の有効性について

No.5203 (2024年01月13日発行) P.47

畝田一司 (福島県立医科大学会津医療センター漢方医学講座講師)

鈴木朋子 (埼玉医科大学東洋医学科教授)

登録日: 2024-01-11

最終更新日: 2024-01-09

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  • 肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)は,患者の生命予後やQOLを長期的に低下させる疾患です。また,抗菌薬の副作用などが影響し,治療に難渋する場合があります。肺NTM症に対する漢方薬の有効性についてご教示下さい。埼玉医科大学・鈴木朋子先生にご解説をお願いします。

    【質問者】畝田一司 福島県立医科大学会津医療センター漢方医学講座講師


    【回答】

    【肺NTM症では標準治療に加え長期的な全人的サポートが欠かせず,漢方薬はその点に大いに寄与しうる治療と言える】

    わが国において肺NTM症は増加の一途をたどっています。肺NTM症の治療は,クラリスロマイシンやアジスロマイシン,リファンピシン,エタンブトールなどの標準療法に加え,近年,アミカシンリポソーム吸入用懸濁液やクロファジミンなど新たな治療展開が期待されています。しかし,肺結核と異なり抗菌薬による多剤併用化学療法にて容易に根治できない,多くの副反応により治療を完遂できない例があるなどの理由から,治療に苦慮するケースが多いです。肺NTM症においては抗菌薬による静(制)菌コントロールに加え,患者の全身状態を改善させることが重要な治療戦略となります。一般的に,肺NTM症患者は痩せてフレイル状態に陥っている場合が多く,貧血や低栄養が増悪因子となりえます。咳や痰のコントロールだけでなく,不足・消耗するものを補うという漢方医学独特の概念である「補剤」は,まさに宿主の免疫状態を改善させ病状の緩和が期待できる選択肢のひとつであると言えます。

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