かゆみを伴う丘疹や結節が,原則として孤立性にみられる疾患である。現在の分類は,臨床型による分類と,病因による分類とにわけられている。臨床型による分類には結節性痒疹,多形慢性痒疹,その他の痒疹(前者に該当しないものすべて),の3つがある。
結節性痒疹では径1cm程度に及ぶような硬いドーム状に隆起する暗褐色角化性結節が多発。四肢伸側や体幹の手の届く範囲におおむね左右対称性にみられる。一方,多形慢性痒疹はかゆみの強い紅色丘疹で,初期はしばしば蕁麻疹様丘疹から始まり,時間とともに褐色充実性丘疹となっていく。高齢者の側腹部,下腹部,腰部に多く,丘疹が集まってみられる傾向がある。その他の痒疹では滲出傾向の目立つ鮮紅色丘疹もしくは漿液性丘疹が散在性にみられる。
痒疹では,炎症的側面とかゆみを主体とする神経学側面とが互いに密接に関わり合っているため,両者の側面に配慮しながら治療する。
まず,ステロイド外用を行う。ドライスキンを伴っている場合は保湿剤(ヘパリン類似物質クリームなど。痒疹では保険適用外)を併用したほうがよい。
結節性痒疹の病変にステロイド貼付薬を用いると,単純塗布に比して効果が上がる。特に初期の病変では有効である。また,硬い結節が完成してしまっているものには,ステロイドの局注や液体窒素療法(保険適用外)を行う。ただし,結節が広範囲に多数みられる例では対応しきれないことも多い。一方,ステロイド外用に抵抗する結節性痒疹の病変に,活性化ビタミンD3軟膏(保険適用外)の外用が効果を発揮することがある。
そのほかにステロイド抵抗性の結節性痒疹に対して,ヒルドイドⓇクリーム(ヘパリン類似物質)を厚く塗布(3FTU程度)し,場合によってはラップによる密封やチュビファーストⓇ(チューブ型包帯)を巻くなどしてみると,ステロイド外用よりも効果の上がる例もある。特に小児では試みる価値がある。
紫外線療法は痒疹の病型にかかわらず効果を発揮することが多く,また頑固なかゆみにも有効である。わが国ではナローバンドUVBが用いられることが多いが,小範囲ではエキシマライトなどもよい(保険適用外)。
なお,最近になって結節性痒疹に抗IL-4/IL-13受容体抗体であるデュピルマブが保険適用となった。かゆみに対しても良い効果が得られる。
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