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巨赤芽球性貧血[私の治療]

No.5208 (2024年02月17日発行) P.50

高見昭良 (愛知医科大学内科学講座(血液内科)教授)

登録日: 2024-02-15

最終更新日: 2024-02-13

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  • 巨赤芽球性貧血は,核酸代謝障害による貧血で,多くは好中球・血小板減少を伴う。主に,ビタミンB12・葉酸・銅の摂取不足・吸収障害(胃・腸切除後,悪性貧血など)・需要増大(妊娠,がんなど),核酸代謝阻害薬,先天性疾患により生じる。

    ▶診断のポイント

    網赤血球数増加のない(8万/µL以下)大球性貧血(MCV>100fL)をみたら,本疾患を疑い,血中ビタミンB12,葉酸,銅を測定する。経腸栄養中でもこれらの欠乏症(特に銅)は生じうる。

    巨赤芽球性貧血をきたす薬剤として,H2阻害薬,プロトンポンプ阻害薬,メトホルミン,亜鉛製剤,抗癌剤全般,メトトレキサート,ミコフェノール酸,抗レトロウイルス薬,アロプリノール,アザチオプリン,抗痙攣薬(フェニトインなど),トリメトプリム,スルファサラジンなどがある。

    高度貧血にもかかわらず貧血症状に乏しい場合は,巨赤芽球性貧血に伴う認知機能低下を疑う。高度飲酒や溶血性貧血,低栄養もない葉酸欠乏を認めた場合,悪性腫瘍による葉酸利用亢進を想起する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ビタミンB12,葉酸,銅の欠乏がみられたら各々補充する。巨赤芽球性貧血をきたす被疑薬の使用中なら薬剤を変更・中止する。ビタミンB12と葉酸の欠乏がみられたか,否定できない場合は,必ずビタミンB12の補充を優先する。ビタミンB12製剤は原則非経口投与だが,経口投与でも一定の効果は期待できる。葉酸欠乏が飲酒や低栄養により生じている場合は,生活習慣や栄養状態の改善にも留意する。銅欠乏が亜鉛製剤の使用により生じている場合,亜鉛製剤を中止する。銅欠乏の場合,中心静脈栄養中に使用できる微量元素製剤を除き,銅を効率よく補充する製剤はないため,純ココアで代用する。ビタミンB12,葉酸,銅の欠乏を問わず,鉄欠乏を合併しやすい(特に補充療法開始後)ので,適宜鉄剤も使用する。

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