自殺防止に取り組む厚労省の研究班(代表者=平安良雄横浜市大院精神医学部門教授)は8日、救急搬送された自殺未遂患者に個別の支援プログラム(ケース・マネジメント)を行うことで6カ月後の自殺再発が半減したと発表した。
研究は自殺のリスクが非常に高いと指摘される未遂者の自殺を予防することが目的。参加した17施設に自殺未遂で救急搬送された精神疾患患者914人を対象とした。全員に通常の治療や自殺予防の資料配付、心理教育を実施。その中から、属性などを調整した上で無作為に選んだ460名にケース・マネジメントを行った。
具体的には精神保健福祉士らによる定期的な面談や連絡を通じ、精神科への受診を促したり、生活背景に応じた公的・私的な援助を紹介。その結果、ケース・マネジメントを受けたグループでは、受けなかったグループに比べ、6カ月後の自殺再発が50%減少した。統計学的な有意差は認められなかったものの、12カ月後は72%、18カ月後は79%と、その後も再発減少の効果は認められた。
平安教授は8日の記者会見で、今回の研究成果を基にケース・マネジメントを行う人材を育成し、普及につなげていく考えを示した。