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急性期における漢方治療の意義は?

No.5208 (2024年02月17日発行) P.60

貝沼茂三郎 (富山大学学術研究部医学系和漢診療学講座教授)

中永士師明 (秋田大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学講座教授)

登録日: 2024-02-15

最終更新日: 2024-02-13

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  • 急性期における漢方治療の意義についてご教示下さい。秋田大学・中永士師明先生にご解説をお願いします。

    【質問者】貝沼茂三郎 富山大学学術研究部医学系和漢診療学講座教授


    【回答】

    【西洋医学と漢方医学を併用し,治療の質を相加相乗的に向上させる】

    急性期の漢方治療は3つの目的で行います。1つ目は西洋医学に上乗せ効果を狙って漢方治療を併用し,さらなる症状の緩和を促します。炎症性腫脹(帯状疱疹,蜂窩織炎,痛風,偽痛風,動物咬傷など)では抗ウイルス薬や抗菌薬が用いられますが,越婢加朮湯を併用することで,症状の早急な緩和が得られます。破傷風では全身性筋痙攣がみられます。破傷風トキソイド,ヒト破傷風免疫グロブリン,抗菌薬を含めた標準治療に芍薬甘草湯や葛根湯を併用することで,重症化を予防します。五苓散はアクアポリンの発現を抑制することで浮腫を軽減させることが明らかにされています。そのため,頭痛,めまい,急性胃腸炎,乗り物酔い,二日酔い,胸水,腹水などに対して,水のバランスを整えるべく臨床応用します。

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