【質問者】諸富公昭 大阪公立大学大学院医学研究科形成外科学准教授
【胸部の変形は稀な疾患ではなく,手術により治療が可能である】
胸郭は胸骨・脊椎・肋骨・肋軟骨より構成されています。「あばら」は俗語で,その定義は今ひとつ不明確です。狭義には肋骨のみを指しますが,患者さんが「あばら」の形を治してほしいと言って受診する場合,肋骨ならびに胸骨の部分を意味していることが多いようです。すなわち,胸郭の前方ないし側方の部分です。
これらの部分の変形には大きく2つの原因があります。1つは肋骨骨折など外傷の後遺症,もう1つは先天変形です。いずれの場合でも胸郭の形を治すことは可能ですが,頻度としては先天変形の場合が圧倒的に多く,300人ないし500人に1人の頻度でみられます。
陥没した変形を漏斗胸と言い,突出した変形を鳩胸と言います。前者と後者の割合は10対1程度であると言われています。したがって,私たち胸郭外科医が日常の診療で目にする患者さんのほとんどは,漏斗胸の患者さんです。
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