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新生児黄疸(新生児高ビリルビン血症)[私の治療]

No.5211 (2024年03月09日発行) P.47

設樂佳彦 (東京大学医学部附属病院小児科)

登録日: 2024-03-12

最終更新日: 2024-03-05

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  • 生後2,3日以降に高ビリルビン血症に伴い,皮膚の黄染がみられる。日齢5頃に最高値となり,以降軽減し,通常2週間頃に消退する。生理的黄疸のように,多くは治療の必要はないが,一部は著しい高ビリルビン血症をきたし,核黄疸(ビリルビン脳症)の危険性があり重篤な後遺症を残す場合があるため,適切な高ビリルビン血症の評価と治療が重要である。新生児仮死,溶血性疾患,早産・低出生体重児,感染症,薬剤など黄疸を増悪させる因子には注意が必要である。

    ▶診断のポイント

    病的な状態と考えるのは,生後24時間以内の早発黄疸,著しいビリルビン値の上昇,黄疸の遷延である。

    ①経皮的ビリルビンの測定:新生児高ビリルビン血症のスクリーニングとして,経皮黄疸計で異常が認められれば血清ビリルビン値の測定を行う。一度光線療法を行うと,皮膚組織のビリルビン値が血清ビリルビン値より低下した状態になるため信頼できなくなる。

    ②血清ビリルビン値の測定:新生児期はほとんどが非抱合型のため,総ビリルビン値の測定のみで評価ができるが,閉塞性黄疸などの鑑別を兼ねて,直接ビリルビンの測定も必要である。血清ビリルビン値の評価は日齢,出生時体重,合併症により異なるため,光線療法や中村らの交換輸血の基準1)を参考にして行う。また,早産児のための新しい治療基準も提案されている2)

    ③アンバウンドビリルビン値の測定:血清中蛋白に結合していないフリーのビリルビンは組織に移行しやすく,核黄疸のリスクになるため,アンバウンドビリルビン値も治療の指標となる。

    ④その他:血液型不適合による溶血性貧血,閉塞性黄疸,代謝性疾患などが疑われる場合も注意を要する。G71R変異が新生児黄疸に関係することが発見されたが,日本人はこの変異の頻度が白人より高く,日本人に黄疸が強くなりやすい原因である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    早発黄疸では,脳症に至る危険性が高いため,臍帯血のビリルビンが4~5mg/dL以上であったり,出生後ビリルビンが0.5mg/dL/時以上の速度で上昇したりする場合は注意を要する。リスク因子を有する場合は,早期に血清ビリルビン値を測定する。生後早期は1日に数回経皮的ビリルビンを測定する。重篤な合併症の頻度は高くないが,交換輸血とならないように光線療法を早期に開始することが重要である。

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