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原発性マクログロブリン血症[私の治療]

No.5212 (2024年03月16日発行) P.43

関口直宏 (国立病院機構災害医療センター血液内科医長)

登録日: 2024-03-15

最終更新日: 2024-03-12

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  • リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma:LPL)は稀少な低悪性度B細胞リンパ腫の一病型である。原発性マクログロブリン血症(Waldenström’s macroglobulinemia:WM)は,骨髄を病変の首座とし,IgM型M蛋白血症を伴うLPLのサブセットとして定義され,全LPLの90~95%を占める。他の低悪性度B細胞リンパ腫と同様に一般的な臨床経過は緩徐であるが,治癒は困難である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    ①骨髄浸潤に伴う血球減少・骨髄不全,②高IgM血症に起因する過粘稠度症候群,寒冷凝集素症,末梢神経障害,③高サイトカイン血症に伴うB症状(発熱,寝汗,体重減少)や全身倦怠感,などの多彩な臨床症状を合併する。過粘稠度症候群,悪性度の高いリンパ腫への形質転換,中枢神経浸潤(Bing-Neel syndrome)を合併した際にはしばしば致死的である。

    【検査】

    血液検査では,貧血や血小板減少の有無,血清IgM値やM蛋白量を確認する。骨髄やリンパ節などの腫瘍浸潤臓器の病理学的検査によりB細胞,リンパ形質細胞,形質細胞の腫瘍性増殖を確認する。造影CTを行い,リンパ節腫大,肝臓・脾臓腫大,髄外腫瘤の有無を確認する。

    さらに,M蛋白血症を合併する他の低悪性度B細胞腫瘍,特に脾B細胞辺縁帯リンパ腫,慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫,IgM型多発性骨髄腫を除外することで診断を確定する。

    治療介入を要する,臨床症状を伴う,いわゆる「症候性WM」と診断した際には,年齢,M蛋白量,貧血・血小板減少の有無,β2ミクログロブリン値,血清LDH値,血清アルブミン値などに基づき,予後予測を行う。血清IgM値が高値である症例に対しては,認知症様症状を含む精神症状の有無を聴取し,眼底検査を行い,過粘稠度症候群を合併していないか確認する。

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