【質問者】永竿智久 香川大学医学部形成外科・美容外科教授
【まずは,「たるみ・ふくらみ」の主訴と成因を適切に評価する】
画一的な治療が安易に行われているのでは,との危惧につきましては,患者さんの主訴,成因は様々ですので,ご指摘の通りその病態を適切に評価することが肝要と思います。
下まぶたの「たるみ・ふくらみ」は,目袋,バギーアイなどと称し,いわゆる涙袋(眼輪筋瞼板部)と区別され,部分的もしくは眼窩全幅の膨らみ,涙袋の尾側に膨らみを伴うdouble convex type,下まぶた全体が膨らむwhole typeなど,形は様々です。眼窩頬溝が目立つ場合は凹か凸か明確でないこともあり,さらに表情によっても形は大きく変わります。患者さんの訴えも,クマ(膨らみ下部の影),凹み(眼窩頬溝),しわ,たるみ,膨らみなど多様ですので,主訴と成因を把握して治療選択しています。
治療法の変遷については,以前は①皮膚軟部組織の弛緩と,②眼窩脂肪の突出を成因とみなし,①に対しては下眼瞼縁での除皺術,②に対しては経皮的除脂術を行い,眼瞼外反対策に眼輪筋吊り上げ術を併用する方法が一般的でした。しかし,1990年代にlaser resurfacing (炭酸ガスレーザーなどによる表皮剝奪と真皮線維の熱収縮)と同時に経結膜的除脂術を行う方法が報告され,①に非手術的治療を,②に経結膜的除脂術を行う考え方が広がりました。
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