大動脈縮窄症は大動脈,特に大動脈弓部の動脈管との接合部付近に狭窄をきたす原因不明の疾患で,先天性心疾患で6番目に多い(約4~8%)。全出生の約0.4%に発症し,男性に多いとされる。治療なしでは予後はきわめて不良で,幼児期を乗り越えた患者の平均死亡年齢は34歳で,43歳までの死亡率は75%と報告されている。
大動脈縮窄の遺残があれば,胸骨上窩,背部に連続性雑音を聴取し,両側大腿動脈は触れにくい。小児期に修復された場合,成人で初めて診断される場合でも,高血圧を有することが多い。約10%は40歳過ぎで診断され,下肢疲労感,跛行,頭痛,耳鳴り,めまい,下肢冷感などの症状を有する。
胸部X線写真では“3の字サイン”,心電図では左室肥大所見を有する。心エコー図では左室肥大を認めるものの,大動脈瘤の有無や縮窄部の検出は困難な場合が多い。心ドプラで流速から縮窄部を推定するが,下行大動脈の血流様式の確認が有用である。大動脈瘤の有無,縮窄部の画像描出がきわめて重要であり,MRIやCT検査,特に造影CT検査は診断,治療に有用である。心臓カテーテル検査は大動脈瘤の有無や縮窄部の検出に加え,圧較差を評価できる。運動負荷試験は病的な運動時高血圧の検出に有用である。
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