武見敬三厚生労働相は5月10日の閣議後会見で、2025年に日本に設立する「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)のナレッジハブ」について、5月の連休中にスイスのジュネーブでWHOや世界銀行の責任者と会談し、具体的に協議したことを報告した。
UHCは「すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態」(外務省)と定義され、特にアジアやアフリカなどの国々でその達成が課題となっている。UHCの達成のためには、各国がそれぞれの国の実情に合ったかたちで財源の配分をしていく必要があり、昨年5月のG7広島サミットでもUHCの知見の共有や、財務・保健当局の人材育成を支援する国際的な拠点が必要と指摘された。
日本はこれまでもUHCの議論を主導しており、政府はWHOや世界銀行と調整し、今年4月19日に鈴木俊一財務相がニューヨークで開かれた世界銀行春会合のイベントで2025年に日本にUHCのナレッジハブを設立することを表明。同日、武見厚労相も閣議後会見で発表した。
5月10日の会見で武見厚労相は、2日から6日までジュネーブに出張した際、WHOのテドロス事務局長や世界銀行のピーター・サンズ事務局長らと会談し、「日本にナレッジハブをどのようにつくるかという意見の交換がかなりできた。大変成果があった」と報告。5月下旬に開かれるWHO総会で具体的な内容が報告されるとの見通しを示した。