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非けいれん性てんかん重積状態の診断と治療のポイントは?

No.5222 (2024年05月25日発行) P.56

松本理器 (神戸大学大学院医学研究科脳神経内科教授)

吉村 元 (神戸市立医療センター中央市民病院脳神経内科医長)

登録日: 2024-05-27

最終更新日: 2024-05-21

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  • 非けいれん性てんかん重積状態(nonconvulsive status epilepticus:NCSE)の診断と治療のポイントについてご教示下さい。神戸市立医療センター中央市民病院・吉村 元先生にご解説をお願いします。

    【質問者】松本理器 神戸大学大学院医学研究科脳神経内科教授


    【回答】

    【まず疑って脳波検査を実施することが大切で,治療は患者背景や原因疾患を考慮して行う】

    てんかん重積状態(status epilepticus:SE)の中で,明瞭な運動症状を伴わないものをNCSEと呼びます1)

    NCSEは集中治療患者に高率に合併し2),発作の生じた時間の長さと神経学的予後の悪化が相関することも明らかになり3),近年,救急・集中治療領域において重要視されています。しかし,NCSEは集中治療患者以外にも生じ,その原因もてんかんや薬物中毒・離脱,脳腫瘍,脳卒中,頭部外傷,脳炎,低酸素脳症など,多様です。また,意識障害の程度は錯乱や嗜眠(NCSE without coma)から昏睡(NCSE with coma)まで様々で,意識障害以外にも言語障害,ミオクローヌス,異常行動,不安・興奮・せん妄,錐体外路症状,幻覚など多彩な症状を呈します2)

    特異的な原因や症状に乏しいことからも,診断には脳波で発作活動をとらえることが必須になります。このため,原因不明の神経症状の鑑別には常にNCSEを挙げ,特に①けいれん性SEや明らかなてんかん発作後に意識障害が遷延する場合,②意識障害時に軽微な運動症状(顔面や四肢のピクつき,眼球偏倚,眼振など)を伴う場合,③器質性中枢神経疾患(脳卒中,頭部外傷など)の程度に比べて神経症状が高度な場合,④原因不明の急性の混迷・錯乱状態,では速やかに脳波検査を実施することが大切です4)

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