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筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する栄養療法について

No.5225 (2024年06月15日発行) P.48

吉村 元 (神戸市立医療センター中央市民病院脳神経内科医長)

清水俊夫 (東京都立神経病院副院長)

登録日: 2024-06-17

最終更新日: 2024-06-11

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  • 近年,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の病期に応じた代謝障害に対する栄養療法の重要性が広く認識されるようになっています。ALS患者に対する,病初期から進行期の具体的な栄養管理の方法についてご教示下さい。
    東京都立神経病院・清水俊夫先生にご解説をお願いします。

    【質問者】吉村 元 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経内科医長


    【回答】

    【病初期は体重を維持するよう,高カロリー・高脂肪食を摂取する】

    ALSにおいては,病初期から体重が低下することが知られています。体重減少は多要因によると考えられており,骨格筋の減少,摂食嚥下障害や食思不振によるカロリー摂取量の減少のほか,疾患特異的なエネルギー代謝の亢進状態が存在すると言われています。

    ALSでは,この体重減少が生命予後の予測因子であると言われており,体重減少が大きければ進行が速く,生命予後が悪いというエビデンスが多数報告されております。また気管切開までの体重減少が,人工呼吸器装着後の機能予後を予測することも報告されており,体重減少が疾患の病態と深く関連した現象であることが示唆されています。

    間接カロリーメーターによる代謝測定の報告では,約40%の患者が病初期に代謝亢進状態にあると言われています。また1日の総消費エネルギー量の検討では,病初期のALS患者の消費熱量は25〜40kcal/kgと非常に高い値を示すことが報告されています。この代謝亢進も生命予後不良の予測因子であることがわかっており,細胞内のエネルギー産生の異常が神経変性の病態に関与していると言えます。

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