来年10月にスタートする医療事故調査制度について検討する厚労省検討会の第3回会合が11日に開かれ、委員の間で意見が分かれている論点の議論を開始した。
同制度は医療事故の原因究明と再発防止が目的であり、個人の責任追及が目的ではないが、この日は、医療機関が作成する調査報告書に再発防止策を記載するかどうかで、意見の隔たりが見られた。
再発防止策の記載を主張した委員は「すぐに書けない場合もあるだろうが、書くインセンティブとなるように、再発防止策の項目は必須とすべき」(宮澤潤委員・弁護士)などと指摘。
一方、記載に否定的な委員からは「再発防止策はそんなに簡単に書けるものではない。(第三者機関が)事故の事例を集めて原因を分析できるよう、事実を淡々と集積する仕組みが必要で、インセンティブがないと医療機関は再発防止策を検討しないかのような発言はひどい」(有賀徹委員・昭和大病院長)などと反論。全国に1つ設置される第三者機関の再発防止策の検討に期待した。大磯義一郎委員(浜松医大教授)は、産科医療補償制度の調査報告書には、個人の過失に帰着した再発防止策の記載が見られ、それが警察の捜査の端緒になっていることを指摘。「システムエラーの分析までには至らず、正しい再発防止策を記載するノウハウが蓄積されていない現状では、刑事事件を誘発する可能性から医療機関が再発防止策を書くのは時期尚早」と指摘した。