迅速診断を利用した新しいワクチン効果判定法(test-negative case-control design)により、今シーズンのインフルエンザワクチンはA香港型に対し60%と高い予防効果がみられることが、慶大小児科の関連病院14施設の調査で明らかになった。
11月中旬?12月12日に施設を受診した、38度以上の発熱を伴うインフルエンザ様疾患の小児患者374人に対して迅速診断を行い、ワクチン接種歴を確認した。
結果は、(1)A型陽性群109人(ワクチン接種歴あり36人、なし73人)、(2)B型陽性群1人(接種歴あり)、(3)陰性群264人(接種歴あり145人、なし119人)。陽性群と陰性群の中でワクチン接種例数と非接種例数を検定したところ、ワクチン有効率は60%(95%信頼区間:35~75%)と算出された。
今シーズンのインフルエンザワクチンの効果については米国CDCが4日、流行株の主体となっているA香港型に抗原変異があり、効果は低いと発表していた。
■慶應関連施設の調査を主導する菅谷憲夫氏(けいゆう病院)の話
抗原変異という懸念材料があったが、実際に調査してみると、現時点で60%という高い予防効果が明らかになった。動物の血清で調べて強い変異があっても、人の抗体はクロスしてウイルスを抑えるのかもしれない。
東京、千葉、埼玉、横浜等で注意報レベルに達するなど、患者数は依然増加傾向が続いている。成人に対するワクチン効果も同様と思われるので、未接種者には今からでも接種を勧めてほしい。