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前庭神経炎[私の治療]

No.5231 (2024年07月27日発行) P.52

堤 剛 (東京医科歯科大学耳鼻咽喉科教授)

登録日: 2024-07-27

最終更新日: 2024-07-23

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  • 聴覚症状を伴わない突発性の回転性めまい症状をきたす疾患で,上気道感染が先行することが多い。めまい発作は通常1回のみで,発作は1~数日続き,停止後も長期にわたって慢性期のふらつきが続くことが多い。

    ▶診断のポイント1)

    長時間持続する回転性めまい発作があり,反復しないこと,聴覚症状がないこと,他の脳神経症状を伴わないことから疑う。診断の確定には平衡・聴覚医学的検査が必要となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    発作急性期には,立位・歩行等は不可能であり摂食も困難であることが多く,安静・補液が必要となる。

    急性期の治療としては,めまい発作を停止させるエビデンスのある治療法は存在しない。めまいに伴う悪心・嘔吐に対しては,第一世代の抗ヒスタミン薬やジフェニドール,ドンペリドンが用いられる。また,急性期のステロイド投与は半規管機能の回復の促進や前庭代償促進の可能性があり,治療の選択肢となる。急性期の抗ウイルス薬投与については,有効性を示す根拠に乏しく推奨されていない。

    慢性期のふらつきについては,平衡訓練(前庭リハビリテーション)の有効性が示されている。さらに,ベタヒスチンを含む抗めまい薬も有効な可能性があるとされるが,エビデンスには乏しい。

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