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小児アトピー性皮膚炎の新常識:新規薬剤と使いどころ[〈プライマリ・ケア医が知っておくべき〉クイズで学ぶ 皮膚科診療の“新常識”(1)]

No.5236 (2024年08月31日発行) P.11

豊國賢治 (国立成育医療研究センターアレルギーセンター総合アレルギー科)

福家辰樹 (国立成育医療研究センターアレルギーセンター総合アレルギー科診療部長)

登録日: 2024-09-01

最終更新日: 2024-08-30

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Q


10歳,男児。乳児期から瘙痒を伴う湿疹が出現し,増悪と寛解を繰り返していた。半年ほど前から湿疹が増悪し,近医でステロイド外用薬が処方されていたが改善せず,瘙痒による夜間の睡眠障害等も出現して不登校状態となり当科を受診した。初診時,全身に強い湿疹を認めた(図1)。
本患者において,まず行うべき治療は以下のうちどれか。

ネモリズマブ皮下注
アブロシチニブ内服
ジファミラスト外用
外用手技の確認・指導

アトピー性皮膚炎治療の概要

アトピー性皮膚炎は,増悪と寛解を繰り返す瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患である1)。特に小児では,その後の食物アレルギーや,喘息,アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患発症のリスクとなるだけでなく,QOL低下や睡眠障害を引き起こし,成長や発達に影響を及ぼす可能性もあり,早期に適切な治療を行うことが重要である。

アトピー性皮膚炎治療の流れを図21)に示す。まず,疾患と治療の目標を説明し,薬物療法やスキンケアに関する具体的な説明を行う。アトピー性皮膚炎治療の主体は外用療法であり,内服や注射による治療とは異なり,外用手技や塗布量により,その効果が大きく影響される。そのため,患者教育は欠かすことができず,塗布量や塗布方法を具体的に説明する。

治療は,まず炎症や痒みを速やかに軽減する寛解導入を行う。見た目の皮疹が消失しても潜在的な炎症は残るため,外用療法やスキンケアを継続して寛解状態を維持することが必要である。また,寛解に達しない場合には,診断を再確認した上で,患者教育による外用療法の適正化を図るが,それでも寛解に至らない難治例には,後述する分子標的薬を用いた全身療法の適応となる。

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