マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)はB細胞性非ホジキンリンパ腫の組織型のひとつで,全悪性リンパ腫の3~5%を占める。高齢者に多く,リンパ節病変のほか,骨髄や消化管などにしばしば節外病変を呈し,大半の症例は初発時進行期である。B症状を呈することは比較的少ない。稀に緩徐な経過を示す亜型も存在するが,ほとんどは進行性の経過で治療を要し,長期予後は不良である。標準治療は確立していない。
他の組織型と同様,リンパ節や病変臓器の生検による病理組織診断が必須である。CT,PET,骨髄穿刺・生検にて病期診断を行うが,必要に応じて消化管内視鏡検査も検討する。病理学的には小~中型のmonomorphicな腫瘍細胞増殖を示し,免疫染色にてCD5,cyclin D1,SOX11陽性で,t(11;14)(q13;q32)に伴うcyclin D1遺伝子再構成がほとんどの例で検出される。TP53変異は強力な予後不良因子である。
初期治療への奏効は比較的良好だが,多くは再発を繰り返す。65歳以下の若年者では,リツキシマブ(R)と大量シタラビン療法(HDAC)を組み込んだ強化型化学療法を施行し,部分奏効(partial response:PR)以上の奏効を得た上での大量化学療法・自家末梢血幹細胞移植(HDT+ASCT),R維持療法が推奨される。
高齢者および強化型化学療法施行困難例においては,ベンダムスチンとRの併用(RB)療法や,ボルテゾミブとRの併用(VR-CAP)療法,R-CHOP療法など,R併用化学療法が推奨される。
再発難治例では,ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイブルチニブの有効性が期待される。
残り2,746文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する