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Sweet病[私の治療]

No.5242 (2024年10月12日発行) P.44

金澤伸雄 (兵庫医科大学皮膚科学主任教授)

登録日: 2024-10-12

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  • 急性熱性好中球性皮膚症(acute febrile neutrophilic dermatosis)とも呼ばれるように,発熱,末梢血好中球増多,顔面・頸部・四肢に好発する有痛性隆起性紅斑あるいは結節を呈し,病理組織学的に真皮に密な好中球浸潤を認める疾患と定義される。1964年にSweetによって初めて独立疾患として報告されたもので,いまだ原因不明の急性炎症性疾患である。

    ▶診断のポイント

    わが国では必須項目の1)有痛性浮腫性紅色局面あるいは結節と2)壊死性血管炎を伴わない好中球優位細胞浸潤に加え,主要項目の①発熱,②先行する上気道感染症または基礎疾患の存在,③好中球を主体とする末梢血白血球増多,④CRP陽性または血沈亢進のうち2つ以上陽性で診断する,溝口の診断基準1)が広く用いられている。

    持久性隆起性紅斑,壊疽性膿皮症,蕁麻疹様血管炎,結節性紅斑,ベーチェット病,さらに多形紅斑や皮膚エリテマトーデスなどを鑑別する必要があるが,ベーチェット病にみられる血管炎や血栓を伴う皮膚症状,典型的なぶどう膜炎はみられず,HLA-B51抗原陰性でCw1またはB54陽性であることが鑑別の一助となる。

    「特発性」のほか,感染症や炎症性腸疾患,妊娠に伴う「古典型」,血液系あるいは固形悪性腫瘍に伴う「悪性腫瘍随伴型」,G-CSF製剤やボルテゾミブなどの薬剤使用に伴う「薬剤誘発型」の4病型にわけられるが,最近,UBA1遺伝子の体細胞変異によって再発性多発軟骨炎や骨髄増殖疾患を伴って高齢男性に発症するVEXAS症候群が報告され,注目されている。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    臨床的にSweet病を疑えば,皮膚生検にて真皮の好中球浸潤を確認し,血液検査にて炎症所見を確認するとともに,薬剤歴や基礎疾患,合併症を検索し,類縁疾患を鑑別する。必要に応じて血液内科,消化器内科,婦人科などに精査を依頼する。関連がありそうな薬剤は中止し,見出された疾患によってはその治療を優先するが,並行して必要な抗炎症療法を行う。通常,中等量の副腎皮質ステロイド内服を行うが,基礎疾患や経過によってヨウ化カリウムやジアフェニルスルホン,コルヒチンの内服も考慮する。また,いったん軽快しても再燃を繰り返す例が多く,再発予防のための維持療法も考慮する。

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