乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患であり,発症年齢は20~50歳代が多く,日本人の約0.3%に発症する。病型には尋常性乾癬,関節炎を伴う関節症性乾癬,発熱など全身症状を伴う膿疱性乾癬,ほぼ全身が乾癬の皮疹で覆われる乾癬性紅皮症,滴状乾癬などがある。
厚い鱗屑を伴う境界明瞭な紅斑を,被髪頭部,腰臀部,肘,膝,下腿などの好発部位に探す。また,半数近くにある爪症状の有無を確認する。診断に迷う症例では生検する。
乾癬の重症度に応じる。軽症例には外用治療,中等症~重症では外用に加えて,光線療法,内服加療(シクロスポリン,レチノイド,アプレミラスト,デュークラバシチニブ,メトトレキサート),生物学的製剤などの全身的治療が行われる。乾癬の重症度は皮疹面積,皮疹重症度,QOL障害度で判断する。
外用薬では,ステロイドと活性型ビタミンD3配合外用薬が効果,即効性の両面で優れている。
内服薬では,シクロスポリンは比較的効果発現も早く,1.5~3.0mg/kg/日の1日1回低用量食前投与が血中濃度,副作用の観点から有利である。高血圧,長期投与に伴う不可逆性の腎障害に注意し,短期使用にとどめる。レチノイドであるビタミンA誘導体のエトレチナートは,膿疱や角化の強い病変に高い効果が期待でき,高齢者は10mg/日の低用量でも効果が見込める。催奇形性の副作用があり,体内蓄積性のため,内服中止後,女性は2年間,男性は6カ月間の避妊が必要で,処方時に同意書を取得する1)。用量依存性に出現する口唇炎や手足の落屑が高用量ではほぼ必発であるため,10mg/日から開始し,症状と副作用をみながら漸増する。肝障害,高脂血症にも注意する。
PDE4阻害薬のアプレミラストは安全性が高く,基本的に血液検査不要で処方できるため,クリニックでは内服薬の第一選択となりやすい。下痢,頭痛,悪心といった副作用が,特に投与初期に認められうる。TYK2阻害薬であるデュークラバシチニブの皮疹への効果はアプレミラストより高く,副作用も毛包炎,帯状疱疹,口内炎など重篤なものはないが,定期検査は生物学的製剤と同様に必要である。メトトレキサートは皮疹と関節炎に対して効果があり,安価であるが,肝障害,骨髄抑制などの副作用に注意が必要である。
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