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■NEWS 高額療養費制度における外来特例などについて議論―社保審医療保険部会

登録日: 2024-11-29

最終更新日: 2024-11-29

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社会保障審議会医療保険部会は1128日、高額療養費制度の自己負担上限額見直しについて前回に引き続き議論した。この日は高齢者を対象にした外来特例が主な論点となり、見直しを求める意見や慎重な検討を促す意見などが示された。

厚生労働省はこの日、外来の受診動向や外来特例の適用状況に関するデータを議論の素材として提示した。それによると年に1回以上の外来受診歴がある患者の年間受診月数は、後期高齢者医療制度加入者の場合は12カ月(毎月受診)が最も多く全体の4割に及ぶが、被用者保険加入者(組合健保・協会けんぽ)は2カ月以下が3割を占め、12カ月は1割を下回る。

外来特例は70歳以上の窓口負担12割の高齢者について、外来受診時の自己負担に上限を設ける仕組み。1月当たりの上限額は、住民税非課税世帯が8000円、一般区分(年収156万円~約370万円)が18000円で、一般区分は年間上限額(144000円)も設定されている。

データで外来の月額上限に年1回以上該当した患者の割合をみると、7074歳では住民税非課税世帯(所得に応じて2区分)が53.853.9%、一般区分が17.9%。75歳以上は住民税非課税世帯が33.4%、一般区分のうち窓口負担1割の場合が8.2%、2割負担の場合が27.8%だった。また、一般区分の年間上限額への該当割合は7074歳が2.2%、75歳以上の窓口1割負担が1.4%、2割負担が6.3%と、いずれもきわめて低い。

■外来特例の廃止を求める意見の一方、受診抑制を懸念する声も

データを受け佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は、「月額上限の該当割合は相当程度高いが年間上限の該当は決して多くない。この特例のあり方の見直しが必要だ」との認識を表明。間利子晃一参考人(日本経済団体連合会)は「外来特例は廃止の方向で検討すべきだ」と訴えた。

城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、後期高齢者では毎月外来受診している患者が4割を占める点に注目。「こうした人たちは複数の疾患を持ち、定期的な受診で医学管理を受け、疾病の悪化を防いでいる。こうした人たちが受療行動の変化により状態の悪化を招くことのないよう丁寧な議論をお願いしたい」と念を押した。

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